Last Update:15/03/25

 平成27年2月定例会 一般質問(3月4日)
 

 
   ■県政報告(速報版)(H27.3.20発行) [PDFファイル版/1MB]
   音声データ(1時間19分)[WAVファイル版/148MB]
 
 <質問概要>

地方創生について・・・5問
(1-1)地方創生の議論の中で、ライバルとなる自治体が増えるのではと考えるが、これまで同様に国の予算を獲得し続けられるのか。また、地方創生という枠組みの中で、どのような点に力を入れないといけないと考えているか、併せて聞く。
(1-2)地域経済分析システムを活用して、多くの方々から知恵を集める仕組みづくりについて、考えはないか聞く。
(1-3)県が持つ目標値を、市町村に役割分担としてそれぞれの自治体の力を考慮した上で示し、国が求める市町村まち・ひと・しごと創生総合戦略策定の手助けとすることについて考えを聞く。
(1-4)地方人口ビジョン策定と地域経済分析システムに関する市町村へのデータ作成支援について、どのような取り組みを行おうとしているのか聞く。
(1-5)県や市町村において、地方版総合戦略の効果的な実施や、地域の産業振興を一層推進するために、商工会や農協などの中にある実働を担う部会との連携や協働にこれまで以上に力を入れる考えはないか聞く。

中小企業支援について・・・3問
(2-1)中山間地域で操業している企業の労働力確保にどのように取り組んでいくのか。また、今後人口減少が進む中では、企業が立地する地域の自治体との連携がますます重要になると考えるが、どのように連携していくのか、併せて聞く。
(2-2)地域経済分析システムを活用するなどして、高知県企業の中で、特に地域貢献の役割を果たしている企業を広く県民に知ってもらい、県民みんなで応援していくような雰囲気を盛り上げる必要があると考えるが、所見を聞く。
(2-3)中山間地域にある地域に欠かせない企業と介護事業所に対する事業存続に関わる支援に関して、考えを聞く。

中山間対策について・・・5問
(3-1)中山間地域への移住を促進していく上で、複数の仕事を組み合わせて提案する取り組みが必要と考えるが、考えを聞く。
(3-2)航空レーザ測量を活用した、森林経営計画の策定を効率化し、森林組合などの事業者の負担軽減を図る取り組みについて、所見を聞く。
(3-3)林業学校の短期コースに文化的な講座を設け、中山間地域への興味を深めてもらうことについて、所見を聞く。
(3-4)猟犬のGPSマーカーへの補助と箱わなレンタル制度について、所見を聞く。
(3-5)中山間地域の空き家活用に対する現在までの市町村の取り組み状況について聞く。

防災について・・・3問
(4-1)市町村における避難所の収容者数の過不足調査の結果をどのように活用して、広域避難や避難所の確保対策に結び付けていくのか聞く。
(4-2)工事で発生する土砂の処理への対応とその処理方法について聞く。
(4-3)災害時のハウス復旧の課題を解決する施策を示しているが、新たな仕組みによってどういう成果が期待できるか聞く。
 
 <一括質問>

◆9番(依光晃一郎君) 早速質問させていただきます。  ことしの2月定例会では、地方創生に関する質問が多く出ております。この地方創生に関する質問ですが、高知県議会だけではなく、高知県内の市町村においても、そして日本中の地方議会で質問が活発に行われているのではと思います。なぜ活発な議論が行われているのか、それは地方創生関連予算が大規模なものであることに尽きるわけで、今後の国の財政見通しがどうなるのかということはとりあえず脇に置いて、用意された予算はとりに行くという姿勢は必要であると思います。  活発な情報収集を全国の自治体が行っていますが、私も地方創生に関して、まち・ひと・しごと創生本部のホームページを見させていただきました。私は、ホームページからだけではありますが、国の強い意志を感じたところです。これまでのばらまき型の補助制度をやめて、新たな仕組みで補助金を出していこうという強い意志です。これから数年後の関連予算の規模がどうなるかわかりませんが、補助金に関する仕組みは変わらないのではと感じました。  私なりにポイントを3つ挙げます。1つ目、自治体それぞれが人口ビジョンを策定して地域の人口推計を改善するような施策とすること。2つ目、目標達成を目指した数値目標を設定すること。3つ目、国が提供するデータシステムなどを利用し、根拠に基づいた施策をつくり出すことの3つです。特に2つ目の数値目標の設定は、これまで明示していなかった自治体にとっては、仕事のやり方を大きく変える決意を試されるものに感じます。  国は、自治体のそんなことはできないという反論を見越してでしょうか、具体的な事例を紹介しており、その中には高知県の事例も幾つか含まれています。例えば小さな拠点のモデルとして、旧西土佐村の大宮産業などです。私は、高知県の先進的な取り組みが国に採用されているということを頼もしく思うと同時に、日本のモデルである高知県は国の予算を獲得しやすいだろうと大いに期待します。  一方で、逆の見方をすれば、日本中のやる気ある自治体が高知県の施策を研究することが予想されます。そして、高知県プランを下敷きに、よりすぐれた施策提案をした他県の自治体に、高知県がおくれをとるということも十分あり得る話です。課題解決先進県の先行優位を維持するためには、これまで以上に高知にしかできない独自のプランを説得力ある形で提案し続けることが不可欠です。  私は、そのために、分析と連携の2点について、さらなるレベルアップが必要と考えます。分析というのは、これまで県が蓄積してきた統計データやアンケート調査に加えて、国が今回活用を推奨している地域経済分析システムの活用により、より施策の精度を高めること。連携というのは、例えば産業振興計画に参画してくれている業界団体との関係を深化させ、会社で言えば社長だけではなく、課長・係長クラスという実働を担う方々との連携を強めることです。このことを前提に以下質問させていただきます。  知事は、これまで高知県のあらゆる施策に対して数値目標を設定し、PDCAサイクルを回して、今回の地方創生の仕組みを先取りした形で県政運営を進めてこられました。また、国からの予算獲得も成果を上げているところです。しかし、今後の地方創生の議論の中で、ライバル自治体がふえるのではと私は考えますが、高知県はこれまで同様に国の予算を有効に獲得し続けられるのか、また地方創生という枠組みの中で、どのような点に力を入れないといけないと考えているのか、知事にお伺いいたします。  次に、地域経済分析システムを活用した政策立案についてお聞きいたします。  私は、国の地方創生関連施策の目玉システムと位置づけられている地域経済分析システムを高く評価しておりまして、有効に活用できるかどうかが、今後の自治体間競争を勝ち抜くための前提条件であると思います。また、どう使うかという知恵を広く集めれば、これまで高知県に存在しなかった新たなデータや考え方を生み出すことができると考えております。  例えば、人口流出、人口流入を市町村単位で分析するという使い方ができるようですが、このデータを直近10年間の累計人数でランキングをつくることができれば、意外な県の意外な町とのつながりが見え、その町での高知県産品のフェアを企画して、地域アクションプランで生み出した商品を売り込んでいくというようなことも考えられます。例えば10年間で10人台の移動であっても、香美市ゆかりの御家族がその数倍いると考えれば、やみくもに大きな百貨店でフェアをやるより利益率がよいのではと仮説も立てられます。  また、兵庫県西宮市に住む高知県出身者が、西宮コミュニティFMで高知に特化したラジオ番組を運営していますが、高知県から進学した学生が多く集まる町は、高知県ファンが多いのではと予想できますが、データの裏づけがあれば、さらに進んだ手が打てるのではと考えます。こういったデータを活用し新たな仮説を生み出して、これまでなかった新しい可能性を切り開くという取り組みは、いろいろなジャンルの多くの方々が議論することで深まっていくのだと思います。  そういう意味では、4月からオープンする産学官民連携センターでどのような活用がなされるか興味深いところです。公開講座など広く県民と議論する仕組みをつくっていただきたいとも思います。  そこで、この地域経済分析システムを活用して多くの方から知恵を集める仕組み、例えば県内大学に力をかりるような取り組みについてのお考えはないか、総務部長にお聞きをいたします。  次に、市町村の総合戦略策定支援についてお聞きいたします。  私は、今回の地方創生に関する国の取り組みを、高知県だけではなく県内市町村もうまく活用すべきであると思っております。むしろ人口問題の解決を目指した地方創生政策は、市町村こそが主体であり、市町村の総合戦略策定がうまくできたなら、尾崎県政と強い連携のもと高知県発展をなし遂げられると感じます。  私は、高知県はこれまでも市町村支援に対し非常に力を入れており、きめ細かなメニューや人的支援などありとあらゆる支援を行っていると感じます。一方で、市町村の側は県の支援策を十分に活用できている市町村と、できていない市町村の差が広がってきていると感じるところです。  県の補助政策を実施するかどうかは、市町村が予算的、人的やりくりの中で決定するものであり、私がどうこう言う話ではないかもしれませんが、市町村の側で県の補助施策を実施するかどうかの議論が深まっていないことで時間切れとなる事例など、もったいないと思うことが多々あります。このことの原因は、高知県がやろうとしていることと市町村がやろうとしていることについて、きちんと整合性をとる仕組みが弱いからであると思います。  このことの解決策は、市町村も高知県同様に数値目標を設定して、その数値を県との共通言語にする、私はこの方法が一番のやり方であると思います。例えば、高知県は製造品出荷額等について、平成22年の4,681億円を平成27年度末に5,000億円にしようという目標があります。一方で、市町村には製造品出荷額等の数値目標がありません。私は、高知県の数値目標に対して、市町村がどれだけの役割を果たそうとしているかという意識を、国の地方創生という数値目標に重きを置く施策体系を追い風に、この際きちんと明示すべきだと思います。  香美市を例に製造品出荷額等の数値目標をどう置くかを考えてみます。香美市は平成22年度の製造品出荷額等は県内6位、4.9%のシェアを持っています。この4.9%のシェアを県の目標である319億円伸ばすという数値に掛けて、319億円掛ける4.9%で15.6億円を導き出します。要するに、県が319億円上げるというなら、香美市はその中の4.9%である15.6億円を担いますという目標設定です。この数値があれば、目標を実現するためにどうしたらよいかという問いが香美市役所に生まれるため、県の工業団地に関する補助金や、シェアオフィスに関する補助金について前向きな議論が生まれるのではと思います。  県がつくった数値目標を市町村に要求することは、県と市町村は対等の関係であるという地方自治の原則に反するのだと思いますが、国の地方創生の政策が求める役割分担では、小規模市町村への支援ということも明記されていますので、一つの指標として、県が策定している指標を各市町村に目安指標として示すことはできるのではと思います。  そこで、高知県は産業振興計画や移住者目標など、県が持つ目標値を市町村の役割分担としてそれぞれの自治体の力を考慮した上で示し、国が求める市町村まち・ひと・しごと創生総合戦略策定の手助けとすることについてどう考えるか、総務部長にお聞きいたします。  次に、高知県の市町村への総合戦略策定に向けた分析業務支援についてお聞きいたします。  高知県には、全国に先駆けて市町村を支援する地域支援企画員の制度があり、7つの地域本部のもとで市町村との関係を深めています。このことは他県にはない高知県の強みであると思っております。  先ほどから予算獲得のための総合戦略の策定についてお話をしていますが、その総合戦略策定のためには根拠のデータが不可欠です。国は、地方人口ビジョン策定に当たっての基礎データを昨年10月とことし1月の2回にわたり提示し、またことし4月から地域経済分析システムを稼働させ、データ分析の支援をするとのことです。ホームページに紹介された情報からだけの判断ですが、非常に充実した内容であると感じます。  一方で、市町村が少ない人員の中で、地方人口ビジョン策定のために人を割き、地域経済分析システムの習熟に時間をかけるというのは難しいのではと感じます。そこで、高知の強みである地域本部にデータ分析業務支援を位置づけ、広域での分析は、例えば現在の7つの地域本部ごとに分析して各市町村に情報提供すれば、無駄が省けるのではと考えるところです。  そこで県は、地方人口ビジョン策定と地域経済分析システムに関する市町村へのデータ作成支援に関してどのような取り組みを行おうとしているのか、総務部長にお聞きをいたします。  次に、総合戦略や産業振興における連携強化についてお聞きをいたします。  国は、まち・ひと・しごと創生を効果的、効率的に推進していくためには、住民、NPO、関係団体や民間事業者等の参加、協力が重要としております。高知県においては、産業振興計画、地域アクションプランフォローアップ会議という仕組みが既にあり、この連携を発射台にして、他県がまねできないレベルでの連携を推し進めていくことが重要です。  私は、市町村の総合戦略については、複数の市町村で一緒になって総合戦略をつくるということも考えられるところですが、できれば市町村ごとに総合戦略をつくるべきで、地域の実情に合わせた独自性の強いものが生み出される仕組みを目指すべきと思います。  そして、その組織体制について香美市を例に考えれば、フォローアップ会議に参加している香美市商工会や土佐香美農協というような看板組織単位ではなく、その中に存在する自立した組織、言葉がないので組織の実働を担う部会、略して組織実働部会と名前をつけたいと思いますが、総合戦略や産業振興の推進に、この組織実働部会が主体的に加わっていく必要があるのではないかと思うところです。  ちなみに、看板組織の中の組織実働部会とは、香美市商工会では商業部、工業部、サービス部、女性部、青年部であり、農協で言えばユズやニラなど品目ごとの部会となります。  なぜこういった実働部会について言及するかというと、他県と差をつけるために有望であるからで、住民ニーズや現状の課題をよく知り、予算を獲得して自立して動ける組織であるからです。実際に香美市商工会では、例えば工業部が土佐打ち刃物の技術でくじらナイフを開発したり、青年部が行政の補助金を使ってお見合いイベントを開催したりと、これまでも予算を獲得し新たな価値を生み出しています。  また、南国市商工会青年部のメンバーが中心となって生まれたごめんシャモ研究会のシャモ鍋でまちおこしは、地域アクションプランに位置づけられ、産業振興推進総合支援事業費補助金も活用していますが、この例のように組織実働部会である商工会の部会や農協の部会に、部会として使える補助金の情報を提供し、組織実働部会で活用できれば、全国に知られる有望な取り組みも生まれやすいのではと思います。  そこで、県や市町村において、地方版総合戦略の効果的な実施や地域の産業振興を一層推進するため、商工会や農協などの中にある組織実働部会に対し、補助金などの情報提供を初めとしたさらなる連携・協働にこれまで以上に力を入れるお考えはないか、産業振興推進部長にお聞きをいたします。  次に、地域に根差した企業への支援策についてお聞きいたします。  高知県は、来年度から高知県事業承継・人材確保センターを稼働させ、県内雇用の受け皿である高知県企業の存続に向けて、さらに積極的な施策を進めようとしています。その際に私は、いま一度高知県での今後の経済見通しがどうなるかについてデータをつくり直す必要があるのではと感じます。特に、地方人口ビジョンを活用して企業の今後のマーケットを予想することは不可欠です。また製造業においては、立地自治体での労働者確保の見通しも重要です。  今回の地方創生の議論の中で、国は地域中核企業という考え方を推奨しています。この考え方は、先ほども御紹介した地域経済分析システムの中にありまして、地場の企業を3つに分類しています。分類1、コネクターハブ企業--地域の中で取引が集中しており、地域外とも取引を行っている企業、そして地域からより多くの仕入れを行い、地域外に販売している企業。分類2、雇用貢献型企業--雇用創出・維持を通じて地域経済に貢献している企業。分類3、利益貢献型企業--利益及び納税を通じて地域経済に貢献している企業、という3分類です。この中で特に、人口減少が続いている中山間地域に工場を持つ雇用貢献型企業についての対策が急がれます。  私がある企業にお聞きしたところ、雇用の場の少ない自治体に進出した当時は、多くの方が働きに来てくれたが、最近では若者人口が急激に減少しており、労働力不足で立地し続けることが難しくなりつつあるという話です。ただでさえ雇用の場が少ない自治体での雇用貢献型企業の存続は、地域の生命線だと感じます。  そこで、高知県は中山間地域で操業している企業の労働力確保にどのように取り組んでいくのか、また今後人口減少が進む中では企業が立地する自治体との連携がますます重要になってくると考えますが、どのように連携していくのか、あわせて商工労働部長にお聞きをいたします。  次に、地域貢献の役割を果たしている企業の応援についてお聞きをいたします。  先ほどからお話ししている地域経済分析システムの中には、ある企業がどのような企業と取引関係にあるか、視覚的に見ることができるように設計されたビッグデータ活用システムがあります。このシステムを活用すれば、高知県企業の中でも地域経済に大きく貢献している企業について、数字の根拠を持って選び出すことができます。高知県は、これまでも商品開発、販路開拓、金融支援などあらゆる支援を行っているところですが、さらにこのシステムを活用して、高知県の中でより役割を担っている企業を広く県民に知っていただき、応援するようなことができないかと思うところです。  企業の競争が今後も激化していくことが予想される中、県外資本に負けないための行政支援を行うと同時に、これまで立派な経営をしてこられた企業であるのに、県内高校生や大学生からの評価が低く、優秀な人材を確保しにくいというようなことを改善できるのではと考えるからです。  そこで、地域経済分析システムを活用するなどして、高知県企業の中で、特に地域貢献の役割を果たしている企業を広く県民に知っていただき、県民みんなで応援していくというような雰囲気を盛り上げる必要があるのではと考えますが、商工労働部長にお聞きをいたします。  次に、中山間地域で企業活動を行っている法人、事業所についてお聞きいたします。  中山間地域での経済活動やサービスを担う法人、事業所は、規模は小さくとも、どの企業も地域貢献に欠かせない企業です。例えば食料品店、ガソリンスタンドなどは、民間事業所でありながら公的な存在であると感じます。また、老人ホーム、訪問介護事業者などの介護事業所も、地域で住み続けるための安心・安全のかなめで、加えて雇用を生み出す、地域になくてはならない事業所です。  これらの中山間地域で頑張っている事業所は、一定規模の人口がないと存続できず、人口問題をどう克服していくかが今後の事業存続の鍵となります。さらに、現状の事業所のうち一つでもなくなれば、地域の利便性が大きく低下し雇用の場も同時に失われることから、さらなる地域の活力低下も想像されるところです。  そこで、中山間地域の、地域に欠かせない企業と介護事業所についての事業存続にかかわる支援に関して県はどのように考えているのか、商工労働部長と地域福祉部長にそれぞれお聞きをいたします。  次に、中山間地域に移住者を呼び込むための雇用の場づくりについてお聞きをいたします。  私は、高知県が移住者にとって魅力的で安定的な仕事があれば、移住したいという人のニーズは高いのではと感じます。特に、海、山、川の自然豊かな中山間地域はその魅力が凝縮しています。一方で、こうした地域では安定した雇用の場は限られるので、移住希望者はその土地に移住することになかなか踏み切れないという事例も多いのではないかと思います。移住したいという気持ちがある方に、現金収入が得られる雇用の場を提供できないことはもどかしくもあり、新たな仕組みがつくれないかと考えるところです。  例えば、雇用の場が少ないとはいえ、私の地元ではユズの収穫時期には人手不足が慢性化している現状がありますし、ほかにも時期によっては人手不足を感じている事業体はあるのではないでしょうか。そのため、市町村内単位で短期雇用のニーズを企業や1次産業事業者などにお聞きして、複数の仕事で所得が得られるよう、市町村や商工会、農協などが協働して仕立て上げることができないかと考えます。  そこで、中山間地域への移住を促進していく上で、移住希望者にとっては現金収入の見込みを持って安心して移住することができ、人手不足を感じている事業者にとっては労働力を確保できるような、複数の仕事を組み合わせて提案する取り組みが必要と考えますが、県としてのお考えを産業振興推進部長にお聞きいたします。  次に、中山間地域で最も有望な雇用の場である林業についてお聞きいたします。  今議会は、情報システムを活用した施策について議論させていただいておりますが、林業でも情報技術の進歩が進んでおりまして、佐賀県などでは航空レーザ測量を活用して森林の管理を行っています。この航空レーザ測量というのは、国土地理院のホームページによれば、「航空レーザ測量とは、航空機に搭載したレーザスキャナから地上にレーザ光を照射し、地上から反射するレーザ光との時間差より得られる地上までの距離と、GPS測量機、IMU(慣性計測装置)から得られる航空機の位置情報より、地上の標高や地形の形状を精密に調べる新しい測量方法」となっておりまして、要するに森林の管理に活用すれば、どれくらいの量の木材がどこにあるのか地図データ情報としてわかるというものです。この技術は、本日は触れませんが土砂災害対策にも有効です。  高知県でも林業の新技術導入の中で、このシステムについての検討が行われていると思いますが、平成27年度に向けた林業学校に合わせたカリキュラムづくりも目指し、スピードアップを期待するところです。  そこで、高知県の中山間地域の所得向上のためのさらなる仕組みとして、航空レーザ測量を活用した、森林経営計画策定を効率化し森林組合などの事業者の負担軽減を図る取り組みについて、林業振興・環境部長にお聞きをいたします。  ことし4月より林業学校がスタートしますが、地元香美市でも期待が高まっているところです。この林業学校には短期コースが設けられており、本格的な自伐林家を目指す方はもちろんですが、山の暮らしに憧れて移住を検討している方々などにも門戸を開いていただけるのではと期待しているところです。  香美市では平成22年に大栃高校が閉校し、校舎の有効活用策として高知県立歴史民俗資料館が体育館に民具を展示して、土佐の里山暮らしを再現する催しを開催しています。この取り組みは高知県の中山間地域への移住について考えてもらえるきっかけづくりにもなっているのではと思います。そういう意味では、林業学校の短期コースとして、例えば土佐打ち刃物を使った山林用刃物の歴史や、なたや鎌の使い方、研ぎ方などが学べる講座を実施すれば、里山暮らしに興味を持つ若者層に林業についても興味を持ってもらえるきっかけづくりにもなると考えるところです。  そこで、林業学校の短期コースに文化的な講座、例えば大栃高校の民具の中で林業に関する道具の使い方を一日で体験できる講座などを設け、中山間地域への興味を深めるということについてどうか、林業振興・環境部長にお聞きをいたします。  次に、中山間地域で問題となっている鳥獣被害対策についてお聞きをいたします。  鳥獣被害対策で一番大切なことは、鹿やイノシシなどの個体数を減らすことですが、その方法は猟友会による鉄砲を使った方法と、わなを使った方法があります。高知県の積極的な取り組みの成果で効果を上げていることは頼もしく感じているところですが、さらに新たな仕組みをつくれないかと考えるところです。  1つ目は、猟友会の皆さん方の捕獲頭数を上げるための猟犬への支援です。猟犬は獲物を追って山を分け入るわけですが、猟犬が遠くまで獲物を追った際に、猟師と離れ離れになってしまうことが多々あります。猟師は、GPS機能のついた発信器、いわゆるGPSマーカーを犬の首輪としてはめているので、その情報をもとに猟犬を見つけ出します。しかし、このGPSマーカーは電波法にひっかかっている機種も多く、新しいものへの更新を多くの猟師が望んでいます。一方で非常に高価なことから、猟師の金銭的な負担にもなっているところです。  また、わな猟についても新たな支援策が生み出せないかと考えます。くくりわなについては県の御英断で無料配布が行われたところですが、箱わなについても支援策がつくれないかと思います。箱わなは安いものでも5万円かかりますし、囲いわなと言われる大きいものになれば25万円ほどかかります。猟師さんの中には中山間地域に住まれている方から捕獲を要請されることも多いと聞きますが、初期費用の高さから設置することが難しいのが現状です。  そこで、県が猟友会にレンタルする形で箱わなを提供し、一定の頭数がとれたなら鳥獣捕獲報償金と相殺して箱わなを差し上げ、とれなければ一定期間の後に返却ということができないかと思います。こうすれば猟師にとっては初期投資が要らず、捕獲した鹿やイノシシの報償金で買い取ればよく、負担が小さくなります。そこで、猟犬のGPSマーカーへの補助と箱わなレンタル制度についてどう考えるか、中山間対策・運輸担当理事にお聞きをいたします。  次に、中山間地域の空き家活用事業についてお聞きをいたします。  高知県は今年度から空き家活用促進事業を導入して、中山間の空き家を有効に活用する取り組みを進めています。これは、いざというときの南海地震に備えて平常時から空き家を使えるようにしておこうという取り組みで、10年間の定期借地権契約を締結し市町村が借り上げます。そして、いざというときにはその空き家が避難住宅となり、行政としては仮設住宅を建てる必要がありません。また、空き家の改修費用は、行政からの補助金として国が50%、県が25%、市町村が25%支援するというものです。  空き家の所有者にとっては、市町村への10年間の貸出期間が終われば、所有者の負担なしに改修された物件が返ってくるというもので、地域の伝統的な建造物の改修が進み、地域の文化を残すという意味でも意義ある取り組みと考えます。この取り組みは全国的にも先進的で、移住者を受け入れることにも大きな成果を上げていると考えますが、現在までの市町村の取り組み状況について土木部長にお聞きをいたします。  次に、防災への備えについてお聞きをいたします。  高知県は、南海地震対策として市町村の避難所への収容数の過不足調査を行っておりまして、例えば香美市はL2クラスの地震が来た際に、1週間後の避難者を5,729人と見込んでおり、収容できる避難所の数が21カ所で3,785人を収容可能、そして1,944人の方の分の避難所が足らないという現状の数値を示しています。この根拠は、平成26年度に行った避難所確保対策事業委託業務として、株式会社建設技術研究所に委託して得られたものです。  私は、この調査は非常に意義ある調査で、市町村ごとに過不足をなくしていく取り組みを加速させ、広域での避難計画にも役立ち、また集会所を避難所として活用していくための耐震補強・改修への市町村の意識向上の流れも加速するのではと期待します。私は、本来香美市など高台の市町村は避難所が足らないのではなく余っている状況が望ましく、香南市や南国市から避難してくる人を受け入れることまで考えなければならないと考えるところです。  そこで、この調査結果を市町村や自主防災組織に提供することにより、地域ごとの避難所の過不足など、避難の具体的な状況を考えることができると思いますが、今後この調査結果をどのように活用して広域避難や避難所の確保対策に結びつけていくのか、危機管理部長にお聞きをいたします。  次に、公共工事で発生した土砂の処理についてお聞きいたします。  昨年8月の台風12号及び11号による豪雨では、道路の損壊や地すべりの発生、河川の流域での床上浸水など多くの被害が発生しました。県には、孤立集落の解消や県民生活を維持する上で特に支障がある箇所について、応急的な復旧工事に取りかかるなど、その解消に迅速に努めていただきました。現在では、通行どめ区間においては仮橋による迂回路の設置を行うなど、県民生活への影響は極めて小さくなっていると考えております。  昨年の台風では、道路での土砂崩れなど災害で被害を受けた箇所の対応に当たっては、土捨て場を速やかに確保することができ、土砂を処理する上で問題はなかったと聞いていますが、公共工事を行う上で発生した土砂をどのように処理するかは重要ではないかと考えるところです。私の地元では、工事で発生する土砂の処理に苦労しているとの声も聞きます。  そこで、工事で発生する土砂の処理について県としてどう対応しているのか、その処理方法について土木部長にお聞きをいたします。  最後に、台風や突風被害などで被災したハウスの復旧についてお聞きいたします。  私の地元では、昨年夏に大きな突風被害がありました。県の要望活動の成果である、国の被災農業者向け経営体育成支援事業を活用してのビニールハウス復旧事業は、農家の金銭的な負担を減らし、多くの農家を助けました。改めて感謝いたします。  一方で、周知期間が少なかったこともありますが、市町村補助がなかった地域の農家は、金融機関からの借り入れが条件となっていることを嫌がって申請しなかったという、もったいない事例もあります。そして、レンタルハウス整備事業を活用してハウスを建て直すには手続が2カ月程度かかり、周年栽培のニラ農家などからは一日も早い手続への強い要望があったところです。  県は、これらの課題に対する解決への施策を示されているところですが、新たな仕組みによってどういう成果が期待できるのか、農業振興部長にお聞きをいたしまして、私の第1問といたします。    (知事尾崎正直君登壇) ◎知事(尾崎正直君) 依光議員の御質問にお答えをいたします。  地方創生の議論の中でライバルとなる自治体がふえるのではと考えるが、これまで同様に国の予算を獲得し続けられるのか、また地方創生という枠組みの中で、どのような点に力を入れないといけないと考えているのかとのお尋ねがございました。  議員のお話にもございましたように、国の総合戦略には本県の政策提言が数多く取り入れられているところでありまして、このこと自体は大変歓迎でありますが、他方で今後他の自治体においても移住促進や中山間対策などの本県同様の取り組みが活発化し、全国の自治体間での競争が激しくなることが想定をされるわけであります。  そのため、本県としましても他の自治体との競争に打ち勝つことができるよう、より実効性のある施策へと常に施策のバージョンアップを図りながら、官民が一体となって産業振興計画などの取り組みをさらに加速していきたいと考えております。例えば、今回改定します第2期産業振興計画ver.4では、これまでの6年間の取り組みの積み重ねにより、それぞれの分野を大きく動かす仕組みが整ってきたことを最大限に生かし、地産や外商の取り組みをさらに強化するとともに、この地産外商の成果を拡大再生産につなげていく取り組みを強化することとしております。  このようにPDCAサイクルをしっかりと回すことによって新たな課題や対応策が現出し、施策のレベルアップにつながってまいりますことから、私は課題解決の先行県としての優位性を存分に生かしていきたいと考えており、そのことが国の手厚い支援にもつながるものだと思っております。あわせて、他県の先行するよい事例も参考にさせていただき、本県の施策のバージョンアップにもつなげていきたいと考えております。要するに、自治体間競争が激しくなるからこそ、県の施策や国への提言も常に進化し続けることが欠かせないと考えているところであります。  この進化し続けるために重要なポイントとしては3点あるかと考えております。まず第1に、お話にもございましたように、国などから提供されたものも含め、幅広いデータ分析などを通じましてしっかりとPDCAサイクルを回していくこと、これが基本の基本であります。第2に、市町村版の総合戦略の策定主体である市町村や経済活動の主体となる企業や団体の皆様としっかり連携してスクラムを組むということ、そして第3に、今後力を一層入れていきたいと考えておりますのは、他の自治体よりも県内外からアイデアや人材が集積する、交錯する県となるよう取り組むということであります。これは、進化し続けるために非常に重要な仕掛けとなり得るものだと考えております。この点に関しては、4月に開設される産学官民連携センターなど活用して大いに進めていきたいと考えているものであります。  官民協働、市町村政との連携・協調を進め、また県内外の英知を取り入れながら産業振興計画や中山間対策などに取り組みますとともに、PDCAサイクルを回す中で見えてまいります新たな課題についても、国に具体的かつ説得力のある政策提言を行うことなど、地方創生の追い風をしっかりと生かしていくことができるよう取り組んでまいりたいと考えております。  私からは以上でございます。    (総務部長小谷敦君登壇) ◎総務部長(小谷敦君) まず、地域経済分析システムを活用して、多くの方々から知恵を集める仕組みづくりについて考えはないかとのお尋ねがございました。  地域経済分析システムは、各自治体がそれぞれの地域の現状や実態を正確に把握した上で、効果的な地方版総合戦略の立案、実行、検証を行うことができるよう、国から4月以降に提供されるシステムでございます。現時点で国からいただいている情報では、国が地域経済にかかわるさまざまなビッグデータを収集し、かつグラフや地図等でわかりやすく見える化するシステムであり、具体的には、地域経済における産業構造や企業間取引の実態を空間的かつ時系列的に把握することができる産業マップ、市区町村単位で人口ピラミッド・人口推移・人口移動等を把握することができる人口マップ、携帯電話の位置情報やカーナビデータを用いることで滞在人口など人の流れを把握することができる観光マップ、市町村間でさまざまな経済活動の実態を比較することができる自治体比較マップの4つのマップから構成されています。  それぞれ機能は異なっておりますが、地方版の総合戦略を策定する上で、県はもとより市町村にとっても有益なマップではないかと受けとめており、今後国が開催する予定の自治体職員向け研修会なども通じて内容をしっかり把握するとともに、お話にありました県内大学と連携した分析の可能性などについても検討してまいりたいと考えております。  次に、県が持つ目標値を市町村に役割分担としてそれぞれの自治体の力を考慮した上で示し、国が求める市町村まち・ひと・しごと創生総合戦略策定の手助けとすることについてお尋ねがございました。  まち・ひと・しごと創生法では、市町村は国の総合戦略と都道府県の総合戦略を勘案して、当該市町村の区域の実情に応じた市町村版の総合戦略を定めるように努めなければならないこととされています。あわせて、総合戦略には目標数値を設定し、PDCAサイクルを回して不断の見直しを行うことが求められているものと受けとめています。  法律上は努力義務でございますが、全国に先駆けて人口減少、高齢化に直面している本県の状況を考えますと、県と市町村が総合戦略を一緒につくり、一緒に実行していくことによりそれぞれの計画の整合性がとれ、お互い高め合うものにしていきたいと考えております。  その際には、総合戦略自体が、各自治体が地域の実情に応じて主体的に策定するものでございますので、県から市町村単位での目標数値をお示しすることは困難ではないかと考えてはおりますが、産業振興計画など県の取り組みを市町村に御説明し、御理解していただくことはもちろん、県の目指すべき方向性や目標数値をお示しするなど、できる限り県と方向性を一にした総合戦略となるよう取り組んでいきたいと考えております。具体的には、産業振興推進地域本部など市町村により近い現場での日常的な策定支援に加えて、適宜市町村との間でそれぞれの総合戦略の方向性や目標数値を確認する場を設けるなど、しっかりと市町村と連携をとって、真の地方創生の実現、さらなる県勢浮揚につなげていきたいと考えております。  最後に、地方人口ビジョン策定と地域経済分析システムに関する市町村へのデータ作成支援についてどのような取り組みを行おうとしているのかとのお尋ねがございました。  地方人口ビジョンは国の長期ビジョンの内容を踏まえつつ、各自治体が人口の現状と将来の姿を展望し作成するものであり、総合戦略を策定するに当たっての基礎になるとともに、住民と課題の共有を図る上で大変重要なものだと受けとめております。また、地域経済分析システムは、先ほど申し上げましたように、総合戦略の施策を考えていく上で有益なものだと考えておりますことから、それぞれ各市町村において地域の実情に応じた分析を行うことが基本だと考えております。  そのため、各市町村において人口動向分析等を行うことができる担当者を確保し、人口動向の背景にある要因を分析することが望ましいと考えておりますが、他方で議員のお話にもありましたように、小規模な自治体ではそうした人員を確保することが困難な場合も想定されますし、また広域での分析が効果的な分野も考えられます。  こうしたことから県としましては、本庁において市町村の分析業務の技術的な支援をしっかりと行ってまいりますとともに、市町村の意見もお聞きしながら、例えば地域本部単位でどのような支援を行うことができるのかなど具体的な支援について検討してまいりたいと考えております。    (産業振興推進部長中澤一眞君登壇) ◎産業振興推進部長(中澤一眞君) まず、地方版総合戦略の効果的な運営や地域の産業振興を一層推進するために、商工会や農協などの中にある組織実働部会との連携・協働することについてのお尋ねがございました。  産業振興計画におきましては、官民協働により計画を推進していくことを基本理念としており、第1期の計画策定当初から現在に至るまで、計画の検討やフォローアップ、個々の取り組みの実施などさまざまな場面で県民の皆様や産業団体の方々など、各界各層の多くの皆様に参画いただいております。また、それぞれの地域で進めます具体的な取り組みである地域アクションプランにおきましても、商工会や農協の部会の方々が事業主体となって活動されているものが多数ございます。こうしたことからも、お話のありました地域における主要なプレーヤーである組織実働部会の皆様との連携・協働を今後とも大切にしていきたいと考えております。  現在、各地域本部におきましても地域アクションプランへの支援等を通じて、こうした皆様と連携・協働をさせていただいておりますが、これをさらに深め、かつ広めていくことでこれまでの取り組みがより一層成長し、また新しい取り組みが生まれてくるんではないかと考えております。  このため、御質問にありました支援策の情報が組織実働部会の皆様と確実に共有できるよう、しっかりと情報提供を行うこととあわせまして、各団体の総会などさまざまな機会を捉えて、産業振興計画の取り組みを御説明させていただきたいと思っております。また、各団体においても団体内での周知に御協力をいただくことで、より多くの方々がプレーヤーとして参画いただけるよう働きかけをしてまいりたいと考えております。加えまして、来年度は第2期産業振興計画の最終年度でもありますことから、それぞれの地域で本県の産業振興についての意見交換会を実施する予定といたしておりますので、この場においても組織実働部会の皆様から御意見を賜りたいと考えております。  次に、中山間地域への移住を促進する上で、複数の仕事を組み合わせて提案する取り組みについてお尋ねがありました。  中山間地域には、お話にありましたようなユズあるいはミョウガの集出荷、木製品の加工といった、短期ではありますが地域ならではの仕事がありますので、こうした仕事での人材のニーズと移住者とをマッチングさせることができれば、地域の経済活動の活性化にもつながるものと考えております。そのため県では、市町村や地域本部などから提供を受けた短期雇用の情報も本県独自の幸せ移住パッケージシステムに登録をして、移住のポータルサイトを通じて発信をしております。  ただ、現実問題として移住希望者にとりましては、短期の仕事だけではなかなか安定的な生活設計を立てにくいことが想像されますので、お話にございました複数の仕事を組み合わせて提案することは、生活の見通しを立てていただく上で有効であると思います。実際、本県の中山間地域に移住された方の中には、夏場はカヌーのインストラクター、冬場は林業に従事して季節ごとに仕事を組み合わせて、生計を立てながら中山間での暮らしを満喫されているという方もいらっしゃいます。  また、この2月からは、中山間地域等において農業の担い手を確保する新たな取り組みとして、市町村が農業を中心に他の仕事を組み合わせた具体的なプランを移住希望者に提案をするという取り組みを始めております。県としてもこれが円滑な就農につながりますよう、研修費用の助成などの支援をすることとしております。  今後、先ほど申し上げましたような既にある事例や農業分野での新たな取り組み、これらも参考にするとともに、例えば幾つかの仕事をパッケージ化して地域おこし協力隊に担っていただくなど、他の施策と関連づけた展開も意識しながら、地域のさまざまな人材ニーズを組み合わせて提案していくことを検討してまいります。    (商工労働部長原田悟君登壇) ◎商工労働部長(原田悟君) 中小企業支援に関しまして、まず中山間地域の企業の労働力の確保と自治体との連携についてのお尋ねがございました。  県内ハローワークの求人・求職情報の動向を見てみますと、近年製造業関係の求人数は増加しておりますが、求職者数及び就業者数はともに減少している状況にあります。また、日々の企業訪問や工業会などとの意見交換の場などでも、多くの経営者の方から労働力の確保についての切実な声をお聞きしており、県としても厳しい状況を認識しておるところでございます。  県では、地域の商工会、商工会議所を初め産業振興センターなどの産業支援機関から、また直接企業から労働力の確保についての問い合わせや相談の情報がございましたら、地元自治体はもとより労働局とも連携し、企業ニーズに応じた対応をしておるところではございます。  昨年の事例ではございますが、中山間地域で企業が操業する際に、地元自治体との綿密な連携のもと、地元エリアを中心にハローワークとも連携し人材確保に取り組みました結果、企業の要望にお応えできたケースもございました。中山間地域はもとより企業の人材確保に当たっては、企業みずからの努力に加え、地元自治体を初め県や就労支援機関など関係機関が一体となって、積極的にサポートすることが重要であると考えています。  特に、人材確保が難しくなっています中山間地域では、関係機関の一層の緊密な連携が求められていますし、地元自治体には日ごろから企業との密接な関係を構築して、求人のニーズについても十分把握していただくことが必要であると考えています。県としては、そういった取り組みについて今後とも地元自治体に助言もしてまいりますし、課題解決に向けて一緒に汗を流していきたいと考えています。  次に、地域貢献の役割を果たしている企業を広く県民に知っていただき、県民みんなで応援していくという雰囲気を盛り上げる必要があるのではないかとのお尋ねがございました。  議員のお話のように、地域において住民の主な雇用の受け皿となっている企業でありますとか、地元の原材料を多く使う企業、また多くの地場企業と取引実績があるような企業に対しては、行政はもとより、その地域を挙げて応援していくといったことは、地産地消といった面でも大変重要なことだと考えます。  そのような地域貢献の役割を果たしている地場企業を、まず多くの県民の皆様に知っていただく取り組みとして、県では3年前からものづくり総合技術展を開催しております。本年度は、昨年11月に県内の122の事業者が出展され、1万6,000人を超える多くの県民の方に来場していただきました。この総合技術展では、出展企業が誇る自社製品の展示や企業の経営理念、地域の貢献活動などが各ブースでPRされまして、小中学校の生徒さんや高校生、またその保護者を初め多くの県民の皆様に広くアピールされておりました。また、高知県産業振興センターが毎年発表しております高知県地場産業大賞では、地域活性化への貢献や波及効果、地域企業との連携の視点から、各賞に該当する取り組みを表彰しており、企業等のイメージアップや販路拡大にも貢献しています。  議員のお話にありました地域経済分析システムは、地域に貢献している企業をより多く県が把握していく際の重要なツールになると考えられますので、システムを通じて得た企業の情報を活用し、その企業活動の周知や当該企業のさらなる事業拡大を支援できるものと考えています。こういった取り組みを継続していくことが、県民の皆さんに地場企業を身近なものと感じていただき、県民による地場産品の購入や地場企業への県出身者の就職などといった、いわゆる地域貢献企業への応援につながるものだと考えております。  最後に、中山間地域に欠かせない企業に対する事業存続に関する支援についてのお尋ねがございました。  中山間地域の生活に密着した企業は、議員の御指摘のとおり地域の生活を支える大切な存在でございますが、その経営を取り巻く環境は人口減少と高齢化の進展による地域購買力の低下や、大型量販店の出店による地域外への購買力の流出などにより大変厳しい状況にあります。  主に経営面に大きな課題のある企業に対しましては、地域の商工会、商工会議所が中心となり、他の支援機関とも連携しながら税務、金融に関する経営相談や国の施策を活用した企業の経営革新の取り組みなどの支援を行っており、これまでには新たな販路を都市部に開拓した企業や、設備投資を行い売上増加につなげた企業などもございます。今後もそういった経営改善の必要な企業に対しましては、産業振興計画のさまざまな施策も積極的に活用し、支援を継続してまいります。  また、中山間地域の企業の喫緊の課題として、経営者自身の高齢化が進む中、後継者の確保ができないため、廃業の選択を余儀なくされるということも現実としてございます。県が来年度に設置します事業承継・人材確保センターでは、そのような中山間地域の企業も支援の対象として、地域に足を運び、後継者の確保や人材育成などの事業承継に関する相談にも対応してまいりたいと考えております。    (地域福祉部長井奥和男君登壇) ◎地域福祉部長(井奥和男君) 中山間地域における介護事業所の事業存続に向けた支援についてのお尋ねがありました。  現在策定中の第6期介護保険事業支援計画の推計によりますと、平成37年における県下の要介護者などが、昨年10月時点に比べ約6,200人の増が見込まれることなどに伴い、介護人材が900人程度の不足と見込まれるなど、中山間地域ではサービスの提供とそれに伴う人材の確保といった面で、これまで以上の厳しい状況が予想されます。  こうした中、県ではこれまでも採算性などの面で新たな介護事業者の参入が難しい中山間地域において遠距離の利用者に在宅介護サービスを提供する事業者を支援してまいりました。その結果、現在17の市町村で事業を活用したサービスの提供が行われており、その提供回数や対象地域も拡大を見せているところです。  また、あわせまして、中山間地域を対象としたホームヘルパーの養成研修や介護事業所の就職説明会などを実施し、人材の確保なども支援してまいりました。今後は、地域において将来必要となるサービスと人材の確かな需給見通しに基づき、中長期的な視点に立ったサービスの確保策などについての検討が必要であり、その際には既存の事業所にとどまらず、これまで高知型福祉の実現に向け本県が取り組んでまいりました、あったかふれあいセンターなどに代表されます地域資源を積極的に活用するといった視点も重要になってまいります。地域の創意工夫によるこうした取り組みなどによりまして新たな雇用を創出し、地域経済の活性化へとつなげていくことも可能になってまいります。  県といたしましても、これまでの取り組みにとどまらず、中山間地域の住民の皆様が安心して介護サービスを利用できるよう、必要となるサービスと人材の確保に向けまして、市町村が新たに取り組むこうした体制整備などを積極的に支援してまいりたいと考えております。あわせて、国に対しまして、中山間地域における介護事業所の実情などを踏まえた政策提言活動などを引き続き行ってまいります。    (林業振興・環境部長大野靖紀君登壇) ◎林業振興・環境部長(大野靖紀君) まず、航空レーザ測量を活用した事業者の負担軽減を図る取り組みについてお尋ねがございました。  航空レーザ測量は樹高や本数、材積、樹木の疎密度など森林資源情報や詳細な地形情報を効率的に把握し解析ができることから、今後森林経営計画を策定したり、災害状況を速やかに把握することにより治山事業等の防災復旧計画を策定するなど、森林・林業分野での利活用の範囲は拡大していくものと考えています。  森林組合などが森林経営計画を策定する際に最も手間を要するのは、所有者ごとの境界の確定であり、現在の航空レーザ測量ではその点での効率化が望めないことや、経費が高額になることなどから導入の検討には至っていません。しかし、来年度から国において航空レーザ測量による3次元データと過去の空中写真を照らし合わせることで、データ上から所有者の境界を区分する技術開発を行うと聞いていますので、国の実証事業の結果が森林経営計画策定の合理化につながるかどうかを注視してまいりたいと考えています。  また、これに限らず、リモートセンシングの技術は、林業学校においても基礎的知識として研修していくことはもちろん、我々の業務の効率化につながりますことから、航空レーザ測量はもちろん、例えばドローンと呼ばれる無人航空機を使用した森林測量など新しい技術に対する知見の習得に努め、積極的にその活用方法などを検討していきたいと考えています。  次に、林業学校の短期コースに文化的な講座を設け、中山間地域への興味を深めてもらうことについてお尋ねがございました。  林業の作業において、なたや鎌、チェーンソーなどは基本的な道具として、その扱い方を習得することはもちろん、刃を研ぐといった道具のメンテナンスも重要なことでございます。このため、林業学校では基礎コースや短期コースにおいてその技術を習得できる内容を設定しています。  一方、林業学校は、林業への就業を目的に県外から移住してこられる方の受け入れといった目的もありますことから、本県の中山間地域で生活する上で必要な知識や技術を身につけていただくことも大事でございます。そこで、元気な地域創造コースというメニューを設けています。このメニューでは、受け継がれてきた里山で生きる知恵、例えば炭焼きであったりキノコの栽培、狩猟やジビエの活用といった内容を予定しています。そうしたコースの中で、お話にもありましたような中山間地域に対して興味を持っていただく講座を設けることも検討してまいります。    (中山間対策・運輸担当理事金谷正文君登壇) ◎中山間対策・運輸担当理事(金谷正文君) 猟犬のGPSマーカーへの補助と箱わなのレンタル制度についてのお尋ねがありました。  鹿、イノシシの捕獲頭数は年々増加をしており、鳥獣被害対策は一定の効果があらわれてきていると考えておりますが、農林業被害を軽減するためには、さらに捕獲対策を強化する必要があります。  お話にございました猟犬のGPSマーカーにつきましては、猟犬の所在確認に大変有効であるとお聞きをしておりますし、箱わなにつきましても一度に複数の捕獲が可能となるなど、捕獲を推進する上で有効であると考えております。  GPSマーカーと箱わなは、いずれも狩猟者の負担を要しない国の交付金を活用できますし、各市町村に設置されております有害鳥獣被害対策協議会が実施主体となることでレンタルも可能となります。こうした点、十分に浸透し切れていない面もございますので、今後市町村や狩猟者の皆様に制度の周知を図ってまいりたいと考えております。    (土木部長奥谷正君登壇) ◎土木部長(奥谷正君) まず、中山間地域の空き家活用に対する現在までの市町村の取り組み状況についてお尋ねがありました。  県では、市町村が民間の空き家を借り上げるなどにより、賃貸住宅として再生、活用する場合に、トイレの水洗化や耐震改修などのリフォーム工事費の一部を補助する空き家活用促進事業を本年度に創設し、空き家の再生、活用を促進しています。  本年2月末現在で15市町村から合計56件の申請があり、6市町の11件で空き家のリフォーム工事が完了しています。そのうち既に3件の移住者支援住宅で3世帯9人の方々が入居しており、2件のお試し住宅で移住を希望する2世帯4人の方々が生活を始めています。今後、これらの成果の周知などによりこの事業の活用を市町村に積極的に働きかけ、中山間地域を中心とした県内全域で空き家の再生、活用を促進してまいります。  次に、公共工事で発生する土砂の処理についてお尋ねがありました。  公共工事を円滑に進める上で、工事で発生する土砂の受け入れ先の確保は重要であると認識しています。公共工事で発生する土砂は、まずは現場内で利用し、現場内で利用できない場合は50キロメートルの範囲内にある他の公共工事での利用に向けた調整をしています。調整に当たっては、その現場で必要な盛り土量や発生する土量の情報を国、県、市町村が共有するシステムを活用しています。  公共工事での利用ができない場合は、法令に抵触せず適正に処分できる民間の処分場や、市町村が確保している土捨て場などへ搬出することとなり、あらかじめ発注者がその場所を指定しています。  ただ、災害発生後に道路上の崩壊土砂を緊急に取り除く応急工事などの場合は、受注者が選定した候補地を参考に発注者が決定することがあります。また、来年度からは土砂の受け入れ先として民間工事も対象とすることを検討しています。県としましては、国や市町村などと協力しながら、引き続き公共工事で発生する土砂の有効利用と適正処理に向けて取り組んでまいります。    (危機管理部長野々村毅君登壇) ◎危機管理部長(野々村毅君) 防災に関して、避難所の過不足調査の結果を広域避難や避難所の確保対策にどのように結びつけていくのかとのお尋ねがございました。  最大クラスの地震による被害想定では、県内の避難者数は1週間後においても約39万人で、そのうち避難所に避難しなければならない方は約25万人となっており、現在指定されている避難所に収容できる人数をもとに単純に計算した場合、県全体で約7万人分の避難所の不足が見込まれます。  また、市町村単位では高知市や香美市など11市町で避難所が不足するため、その避難者を周辺の市町村に受け入れていただく広域避難の取り組みについて、県内を4ブロックに分けて市町村と検討を進めております。この広域避難の検討に当たって、これまで市町村単位でしか算定していなかった避難者数を、お話のあった今回の調査で大字など地区単位で改めて算定したことで、市町村内の地域ごとの詳細な避難所の過不足を明らかにしました。  調査の結果、まず市町村単位では、市町村ごとの具体的な避難計画の検討が可能になり、またどの地区で新たな避難所の確保が必要かということを検討することができるようになりました。さらに、ブロック単位でどの地区またはどの避難所で、他の市町村から避難者を受け入れることができるのかということが把握できるため、具体的な避難者の送り出しや受け入れの体制を検討することが可能となります。こうした情報は、避難所の運営に深くかかわる自主防災組織にも理解していただくことが重要ですので、市町村を通じて情報提供することも考えています。  今後、ブロックごとで耐震性のない集会所などの避難所を耐震化するなど、市町村における避難所の確保対策につなげるとともに、引き続き具体的に広域避難の検討を進め、他の市町村に避難せざるを得ない場合でも、できるだけ居住地の近くで受け入れが可能となるよう検討を行ってまいります。    (農業振興部長味元毅君登壇) ◎農業振興部長(味元毅君) 新たに設けます園芸用ハウス災害復旧事業でどういう成果が期待できるのかとのお尋ねがございました。  昨年発生した台風や集中豪雨では、園芸用ハウスが大きな被害を受けたことから、県としましてはレンタルハウス整備事業や国の被災農業者向け経営体育成支援事業などの制度を活用して復旧を支援してきたところでございます。  しかし、お話にもございましたように、事業の認定までの手続に時間を要したことや、事業によっては支援対象にならないケースが発生したこと、また復旧に係る新たな経費負担を理由に再建を諦めた方がおられたことなど、幾つかの課題が見えてまいりました。こうした状況を踏まえまして、農業者の経費負担を軽くし速やかな復旧を図ることなどを目的として、園芸用ハウス災害復旧事業を設けることにいたしました。  新たな事業は、園芸施設共済制度への加入を前提として、万一災害により被害に遭った場合には、復旧に要する経費と共済金との差額の15分の8を県と市町村とで支援するというものでございます。この2月に行われました制度の見直しによりまして、補償率が大幅にアップする園芸施設共済と組み合わせることで、これまでのレンタルハウス整備事業などと比べましても、農業者の負担が軽減されます。また、新たに農業者を事業主体に加えることによりまして、比較的年齢の高い農業者の方であっても資金利用が要件とならず、活用が可能となりますし、また手続を簡素化することで、復旧に係る入札までの期間が2カ月程度から1カ月程度に短縮するなどの効果が見込まれるところでございます。台風災害はもとより、突発的な自然災害の発生時におきましても、被災された農業者の方が速やかに再建に取り組むことができ、安心して農業を続けていただける一助となるものと考えております。 ◆9番(依光晃一郎君) それぞれ丁寧な御答弁ありがとうございました。  要請をさせていただきます。地方創生に関しまして、市町村版の総合戦略というのがこれからできていくんだと思いますけれども、そのために数値目標というのを市町村がつくらないといけない、そういうふうになると思います。そのときに、数値目標というとやっぱりハードルも高いんだと思います。その点、県庁の職員さん、これまで尾崎県政の中で数値目標というのを常に傍らに置きながらお仕事をされてきたということで、市町村の職員さんに対してもぜひアドバイス、いろんな心理的な軽減とか、そういったアドバイスもしていただきたいと思います。また、目標があって仕事のやり方を変えるというのは、やっぱり楽しいというか、工夫をしながらモチベーションを上げていくということもできると思いますんで、本当に県政、市町村政がうまく回って高知県発展につなげていきたい、私もそういう思いでございます。ぜひともお力をおかしください。よろしくお願いします。  以上で私の一切の質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)